三上 治の執筆一覧

書評 『ナワリヌイ』プーチンがもっとも恐れる男の真実 ヤン・マッティ・ドルパウム、モルヴァン・ラルーエ,ベン・ノーブル  熊谷千寿(訳)

著者: 三上 治

(1) ナワリヌイは弁護士でロシアの政治家である。プーチン体制に反対する反体制の政治家でもある。2020年の8月20日に飛行機内で毒殺に見舞われる。この事件では一命を取りとめ、ドイツで治療をしていた。2021年の初めに帰

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『帝国と立憲』(坂野潤治) 日中戦争はなぜ防げなかったか

著者: 三上 治

(1) 毎年、8月には戦争の事が論じられる。これ中心には8月15日の終戦記念日の戦没者追悼の式典などがある。この時期には論壇も戦争の特集を組むし、雑誌は特集記事で飾られる。報道特集もある。8月13日にNHKが「731部隊

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『西郷隆盛紀行』(橋川文三・文春学藝ライブラリー)

著者: 三上 治

(1) いつの間にか季節は秋を過ぎてもう冬になっている。暖かい陽ざしも陽が落ちれば寒々となる。秋の夜長を鳴き通す虫の声も遠のいてしまっているが、そういえば「読書の秋」というのもあまり聞かなくなった。あちらこちらの書店の店

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天皇、および天皇制の所在 ─ 内野光子著『天皇の短歌は何を語るか』の書評

著者: 三上 治

(1)やっぱり天皇(天皇制)というのは曖昧で厄介だ 天皇や天皇制についてはちょっとした事件が起きる度に、その存在の分かりにくさが露呈する。ごく最近では山本太郎が天皇に手紙を手渡した事件の反応がそうである。この事件をもっと

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5月17日(金)は「共同幻想論はどう読まれてきたか」第1回目です

著者: 三上 治

『共同幻想論』はどう読まれてきたか 「共同幻想論と今」と題した講座の続きが5月17日(金)から始まります。吉本隆明の『共同幻想論』をテーマにした講座を来年3月まで(9回)の予定で行います。吉本がなくなった後、改めて評価が

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小沢一郎政治裁判はまだ現在の政治的事件である(五)

著者: 三上 治

対話風の議論から 小沢一郎政治裁判と日本の政治権力(2) A 君は「憲法の核心は権力の問題である」と言っていたね。それは憲法(法)が政治権力の統治のための道具ではなく、権力を制限し、縛る道具であれということをいいたいわけ

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小沢一郎政治裁判はまだ現在の政治的事件である(四)

著者: 三上 治

対話風の議論から 小沢一郎政治裁判と日本の政治権力(1) A 日本の政治権力(統治権力)は制度《憲法》に基づいて運用されているというのが建前だが、恣意的で絶対的なものとして存在しているところがある。専制というのはそういう

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小沢一郎政治裁判はまだ現在の政治的事件である(三)

著者: 三上 治

4月28日に開かれた政府の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」は奇妙なものだった。アメリカ軍の占領に終止符を打ち、戦後の日本が独立を達成した記念日としたいとする趣旨であると思われるが、安倍首相はサンフランシスコ条約で

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小沢一郎政治裁判はまだ現在の政治的事件である(二)

著者: 三上 治

戦後の日本の政治権力は国民の政治意思によって代表として選ばれたもので構成されている。という幻想態の中で存在する。国家権力は天皇の意思によって形成されているという戦前の存在とは違う。戦後憲法が国民主権をうたい、法治国家の形

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イラク戦争を忘れられた戦争にしてはならない(3)(4)

著者: 三上 治

イラク戦争を忘れられた戦争にしてはならない(3) アメリカのイラク侵攻時に掲げた「イラク自由化」「中近東自由化」という政治理念が一面であり政治経済的理由が詮索されたのは当然であった。これはイラクや中近東の石油支配であると

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